遭難者世界一の谷川岳
であるが、その親しみやすさとは裏腹に、実は恐ろしい事実がある。それは
遭難者の数が飛びぬけて多く、世界のワースト記録なのである。
谷川岳の尾根1500mにある天神平駅まではロープウェイに乗って登山ができ、
年間でおよそ4~5万人もの登山者が訪れる。谷川岳は別名、死の山や魔の山とも
呼ばれていて、事故及び遭難の記録によれば1931年から現在までの死者は
800名以上にものぼる。
エベレストなどの標高8000m級の世界的な山での死者を全て足しても、この数
には及ばない。ではどうしてこの2000mにも満たない山がこれほど危険なのか。
それは変化が極めて激しい気象が鍵を握っているようである。冬ともなれば日本海側
から季節風が強く吹く、日本屈指の豪雪地帯なのである。5月になっても残雪が
大量に残っていたり、標高1500m付近からは森林限界となり、強風にさらされる
ことになる。
また一ノ倉沢という日本三大岩場として数えられる岸壁があり、数多くの登山家が
チャレンジするロッククライミングの名所なのである。遭難事故で亡くなるのが、
この急峻なルートで挑んだ人々が多い。
週末に訪れる登山家も多い谷川岳だが、こうした玄人向けのエリア以外にもポピュラー
な天神尾根ルートで登り道や気象が急激に変化することもあるだろう。
死の山で墓標を刻まないためにも、気軽にけっして立ち入りしないことが大切である。